NEWS

ニュース

一方に難あれば、十方より支援

台湾や東京、大阪から駆けつけた慈濟のボランティア。被災地の声に耳を傾け、温かい食事や支援物資を届けながら、熊本の皆さまに寄り添う活動を続けています。

2026年7月28日午後4時27分、日本・九州の熊本県でマグニチュード7.1、震源の深さ16キロメートルの地震が発生しました。宇城市と氷川町では最大震度7を観測しました。

災害の発生後、各地から被災地を案じる声が寄せられました。被災された方々が苦しむ姿を前に、心を寄せずにはいられない――。さまざまな場所から集まったボランティアは、證嚴上人の思いと祝福を胸に、それぞれ異なる方法、異なるタイミングで熊本の被災地へと向かいました。

台湾から出発する人、東京や大阪から駆けつける人。飛行機や新幹線を利用する人もいれば、車を運転して11時間かけて向かう人もいました。

向かう方向は違っても、思いは一つ。被災地に足を運び、被災された方々の声に耳を傾け、何が最も必要とされているのかを知り、その思いを一刻も早く届けるためです。

空の上でつながる 台湾・東京から熊本へ

8月2日午前、「熊本地震現地調査チーム」のボランティア10人が、それぞれ台湾と日本から出発しました。台湾からは6人が桃園国際空港を、日本からは4人が東京・羽田空港を出発。福岡国際空港で合流し、共に熊本県へ向かい、現地調査を開始しました。

出発にあたり、チームリーダーの陳金發さんは、證嚴上人の教えと国際災害支援の原則である「直接、重点的に」という言葉をチームに伝えました。

今回の現地調査で大切なのは、被害を見ることだけではありません。実際に被災地へ足を運び、住民に寄り添いながら被災状況や生活上のニーズを把握し、現地の必要性に応じて、その後の支援計画と行動を検討することです。

同時に、慈濟本部から簡易ベッド148台と間仕切り40個を支援物資として提供し、8月3日午前10時に熊本県八代市の千丁体育館へ届ける予定となりました。被災された方々がより安心して休める環境を整えるための支援です。

即座に行動 心もお腹も温める

8月15日からは、東京と大阪のボランティアが交代で被災地に入り、温かい食事の提供と避難所での支援を行いました。現地のニーズに応じながら、継続して温かい食事を届けています。

ちょうど日本のお盆の時期と重なり、多くの人が帰省や先祖の供養のために移動する時期でした。そのため交通需要が増え、航空券や新幹線の料金も普段より高くなっていました。

それでも、東京のボランティアは、席が確保できれば何とかして被災地へ向かいました。飛行機に乗る人、新幹線を利用する人――移動の距離や費用を気にすることなく、少しでも早く被災地へ到着し、少しでも早くこの思いやりを被災された方々に届けたい。その思いが、行動を後押ししました。

「お母さんの味」 家庭の味を避難所へ

東京から駆けつけたボランティアのお母さんたちは、普段、家族のために毎日の食事を作っている経験と工夫を、被災地の厨房にも持ち込みました。

毎日異なるメニューを考え、みんなで相談しながら味付けを行い、被災された方々の好みに合わせて細やかに調整します。経験豊かな料理人も加わり、一杯一杯のスープに、より細やかな心配りが込められていきました。

決まったレシピはなくても、みんなが大切にしている基準は一つ。それは、被災された方々に「おいしく食べてもらいたい、しっかり食べてもらいたい、安心して食べてもらいたい」という思いです。

厨房から運び出される熱々のスープ。その香りは、単なる食事の香りではありません。まるで家庭の味を避難所へ運んでいるかのようでした。

災害後の慣れない不安な日々の中で、どこか懐かしい味わいが、そっと寄り添う温かな支えとなりました。

大阪の「愛の車」 11時間走り続けた思い

被災地で温かい食事を作るため、大阪のボランティアたちは集まると車に乗り込み、熊本へ向かいました。11時間にも及ぶ道のりを昼夜を問わず走り続け、疲れを口にすることもなく、ただ少しでも早く現地に到着することを願いました。

調理を担当したボランティアの文武さんは、自分の「宝箱」も持参しました。そこには、さまざまな調味料がぎっしりと詰め込まれていました。

「この箱があれば、どんな料理でも作れます」

そう笑って話します。

支援活動に参加するとき、この調味料の箱はほとんどいつも彼と一緒です。彼にとっては、自分の大切な「道具」なのです。

大阪から熊本まで運ばれたのは、数本の調味料にすぎないように見えるかもしれません。しかし、その一本一本には、料理人として長年培ってきた経験と、被災された方々を思う心が込められています。

一つひとつの味を丁寧に組み合わせながら、被災された方々への思いやりを、一鍋一鍋の温かいスープに込めていきました。

一杯のスープ 日常の懐かしさを取り戻す

「とてもおいしいです。毎日楽しみにしています」

「今日はどんなスープかな、と毎日楽しみにしています」

慈濟が提供する新鮮な野菜を使ったスープは、被災された方々の心に深く残りました。 長く避難生活を送る人々にとって、一杯の温かいスープは、空腹を満たすだけのものではありません。身体に必要な栄養であると同時に、日常の中で得られる貴重な「いつもの感覚」でもあります。

野菜スープを飲んでいるうちに、少しずつ体調が戻ってきたという方もいました。どこか懐かしい味わいが、心を少しずつ落ち着かせてくれたのです。

災害によって、それまでの生活は一夜にして変わりました。

そんな中、さまざまな場所からボランティアが熊本へ駆けつけ、何度も旅を重ね、一鍋一鍋の温かいスープを届けながら、被災された方々が少しずつ日常を取り戻していく歩みに寄り添いました。

台湾から東京へ、東京から熊本へ。飛行機、新幹線、そして11時間走り続ける「愛の車」。さまざまな場所から、さまざまな方法で集まったボランティアの思いが、一つの場所に集まりました。

一方に難あれば、十方より支援。

一杯の温かいスープが温めるのは、身体だけではありません。災害によって失われた「いつもの暮らし」の感覚も、少しずつ、日常の中へと取り戻されていきます。

千里を越えて届けられた一人ひとりの思いやりが、熊本の被災された方々にとって、復旧・復興の日々を歩むための支えとなることを願っています。

 

慈濟による熊本県での支援活動の最新情報は、こちらからご覧いただけます:熊本地震(2026年)

share