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京都で初めての慈濟子ども食堂–共に食事し愛を届ける温かな開幕の序章 

2025年8月2日、慈濟は京都市北区の青少年活動センターで初めて、子ども食堂を試験的に開催しました。当日は暑さが厳しいなか地域に、世代を超えた交流の場を提供する共食スペースをつくるために、関西各地から二十人以上のボランティアが朝早くから会場に集結しました。

心遣いを込めた静思語カード

今回の配付活動では、小学生、中学生、高校生とその保護者だけでなく、大学生や世代間交流に関心のある地域住民の参加も歓迎されました。ちょうど夏休みの時期にあたるため、この活動には子育て支援と地域交流の役割も込められていました。ボランティアが心を込めて用意した昼食は、精進五目ご飯でした。

食事のほか、会場にはふたつの体験ブースが設けられました。ひとつは「静思語くじで良い言葉を引こう」、もうひとつは「お茶ふるまいボランティア体験」でした。参加者が二人以上のお客様に静思烏龍茶をふるまえば、小さなプレゼントがもらえるというもので、若い世代の積極的な交流と奉仕の心を育むことを目的としています。

食後、参加者に声をかけ、静思語のくじ引きに誘いました。「よい言葉を声に出す」この体験は、楽しさと少しの挑戦が交差する特別な時間となり、最後にはカードを記念としてプレゼントしました。

食卓に広がる物語とふれあい

別のテーブルでは、若い男の子と女の子が、初対面で少し恥ずかしそうにしていましたが、ボランティアの声かけで高齢者にお茶をふるまう体験に参加しました。お茶を手渡し、挨拶を交わすという小さな行動を通して、ふたりの距離は一気に縮まり、高齢者にも「大切にされている」と感じてもらえるひとときとなりました。

また、ある高齢の女性が静思語を引いたところ、「信心・努力・勇気の三つは、どれも欠けてはならない」という言葉を手にし、「まさに今の自分にぴったりの言葉です」と驚いていました。さらにもう一枚引いたところ、「人が自分にどう接するかを気にせず、自分がどうあるべきかを求める」という言葉にも深く共感し、「このふたつの言葉は響き合っていますね。心にしっかり留めて、これからの人生の指針にします」と語ってくださいました。

社会とのつながりと文化交流

この日、京都府社会福祉協議会で子ども食堂の支援を担当している原伸子さんが、特別に訪問くださいました。原さんは、社会福祉法人で介護福祉管理者として働く友人の宮西裕子さんも誘い、共に見学に来られました。また、北青少年活動センターの所長である國府さんも何度も顔を出し、応援の言葉をかけてくださったことで、ボランティアたちは大きな励ましと支えを感じました。

原さんによれば、京都府に登録されている子ども食堂は約百箇所あり、コロナ禍以降も七~八割が活動を続けているそうです。食堂の形態や規模は多種多様で、本当に栄養が不足している子どもたちを対象にしているところもあれば、「一人で食べる(孤食)」という状況を減らすために、みんなで一緒に食事をし、交流や経験を積める場を提供しているところもあります。

「現在は物価の高騰もあり、運営は本当に大変です」と原さんは話しますが、それでも各地の子ども食堂は、活動を地域に根づかせようと工夫を凝らしながら努力し続けているとのことです。最後に、「ボランティアの皆さんが笑顔で来場者を迎える姿に、元気と活力を感じ、深く感動しました」と語ってくださいました。

交流の中で、宮西裕子さんは六年前に台湾を旅行中、花蓮地震に遭遇した際の出来事を語ってくださいました。現地の人々の温かな支援と助けにより、無事に帰国できたことは、今でも忘れられない思い出だそうです。

活動は、あたたかな空気と笑顔に包まれながら幕を閉じました。ボランティアにとって、今回の試みは実践と学びの貴重な機会となり、次回に向けてさらに円滑な運営につなげたいと考えています。

今回の活動は試験的な初開催ではありましたが、関西の慈濟ボランティアと地域社会との間に、確かな絆と温かな橋を架けることができました。今後、さらに実りある活動へと発展していくことが期待されています。

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