東北には慈濟の拠点である「石巻共修処」がありますが、現在は慈濟委員(認定ボランティア)、張君(ジャン・ジュン)が一人で担っています。彼女は地元のボランティアと共に、今年2月に発生した大船渡の森林火災で被災された方々への活動を続けいます。10月18日にも再び近況の把握に現地を訪れるというので、東京のボランティア4名も、一足先に、その3日前から応援のために現地入りし、10月15日には石巻共修処に到着、事前の準備作業に取り掛かりました。ボランティアたちは時間とご縁を大切にし、17日には石巻のメンバーと共に、近隣住民の家庭訪問を行いました。
皆で協力し障子を張り替える
千葉おばあちゃんとの出会いは、震災時にお見舞金を受け取られた伊藤幸子さんからの紹介でした。昨年12月中旬にボランティアが初めて訪問した際、おばあちゃんは一人暮らしで足が不自由なため、一日の生活のほとんどを居間で過ごしていました。ボランティアが慈濟の月刊誌を届けると、彼女は嬉しそうな様子でした。その際、張君(ジャン・ジュン)さんはおばあちゃんの家の庭に物が山積みになっていることに気づきました。
新年を迎えるにあたり、ボランティアたちは、「おばあちゃんに清々しく落ち着いた気持ちで新年を過ごしてほしい。」と片付けを手伝うことにしました。まずは庭から、そして室内へと、少しずつ整理を進めました。居間から外を眺めると、青々と茂る草花が見えます。おばあちゃんは「蝶が来ると、何かいいことが起こるのよ。」と笑顔で話してくれました。
10月17日、晴天に恵まれた朝。石巻共修処の張君(ジャン・ジュン)さんが運転する車で、東京からのメンバーと研修ボランティアの郭英(グオ・イン)は、一人暮らしの千葉百合子おばあちゃんの家に向かいました。この日で4回目の訪問です。玄関を開けると、畳の上に座った千葉おばあちゃんが温かく迎えてくれました。
おばあちゃんの家の障子は、飼い猫が破ってしまった大きな穴が開いており、冷たい風を遮ることができなくなっていました。ボランティアたちは皆、障子張りに関しては素人です。最初は「こうじゃない。」「急がないで。」「私がやるわ。」「あなたが貼って。」と賑やかでしたが、力を合わせるうちに息が合ってきました。次第にコツを掴み、最後にはプロのような仕上がりに。皆で助け合い、合計8枚の障子を見事に修復しました。
「お元気ですか?」地域の絆を訪ねて
同日の午後、ボランティア一行は奥田登美子さんのもとを訪れました。
彼女の夫、奥田正行さんは東北のボランティアとして、震災時に慈濟と出会いました。お見舞金配布の最終日、「自分にできる恩返しです。」と、彼は小銭でいっぱいになった慈濟の貯金缶(福慧珍粥)を二つ持参されました。以来、茶話会や祈福会など、いたる所に彼の献身的な姿がありました。妻の登美子さんも地元の民生委員を務め、慈濟の「竹筒(募金)会員」でもあります。ご夫婦は長年、地域のために尽くされ、深い信頼を寄せられてきました。
2024年12月に正行さんが他界され、ボランティアたちは登美子さんを元気づけようと訪問しました。彼女は「時々体が痛むこともあるけれど、身の回りのことは自分でできるわ。」と笑顔で話しました。一度、階段から激しく転落したことが一番大変だったと振り返り、「あの時は本当にきつかった。階段を一段一段、ゆっくり上るしかないの。」と言います。それでも、人に迷惑をかけたくないと、できる限り自分の力でやろうとする強さを持っています。
最後に、彼女は優しい微笑みを浮かべて言いました。「体は以前のようにはいかないけれど、自分で茶を淹れ、好きなものを食べられる。それだけで幸せよ。」
奉仕の中から学ぶ「智慧」
二人の高齢者を訪ね、温かい気持ちで一日を過ごしたボランティアたち。東京のボランティア、美玲(メイリン)さんは、千葉おばあちゃんの家での出来事を振り返ります。メンバーのほとんどが障子張りの経験がありませんでしたが、幸い、自分には若い頃に経験があったため、舵取り役をさせていただきました。貼る前にまず『下地』を整えることが大切であること、木枠の埃や古い紙をきれいに取り除いてこそ、仕上がりが平らで丈夫になることをお伝えし、あとは皆で協力しながら、心を込めて枠を拭き、糊をつけ、紙を貼りました。
途中失敗したりしながらも、お互いに助け合い、補修を重ね、すべての障子が真新しくなりました。整った障子を見た千葉おばあちゃんは満面の笑みを浮かべ、何度も感謝の言葉を口にしました。また、それを見たおばあちゃんの友人からも、「うちも破れているから、ぜひまた来てほしい。」と頼まれるほどでした。
美玲さんは感謝を込めて言いました。「また機会があれば、ぜひ行きたいです。もっと多くの地域の方々のために、家を整えるお手伝いをしたい。皆さんの喜ぶ顔を見ることが何よりの喜びです。」
千葉おばあちゃんは嬉しそうに語ってくれました。「家の障子も、このまま古びていくだけだと思っていました。こんなに心を込めて直してもらえるなんて。長年一人で寂しく過ごしてきましたが、今日の温かさで、心が本当に満たされました。」 おばあちゃんの笑顔は、ボランティアにとって最高の温もりであり、何よりの贈り物となりました。
